Rice J. 全米販 全国米穀販売事業共済協同組合 米穀卸売業者で組織する全国団体

米穀卸売業者は、お米の品質表示について、以前より「玄米及び精米品質表示基準※」などに従い、適正な表示を行っていました。

しかしながら、食糧法の改正など、米穀業界を取り巻く環境は変化しつづけています。その変化に的確に対応し、消費者のニーズに応じた生産・流通・消費を確保すること、また、適切な商品選択にいっそう役立つ品質表示を行うことが重要になってきました。

そこで業界が自主的に定めた「品質表示ガイドライン」を導入し、消費者にとって分かりやすい米の表示が行われるよう、傘下組合員に指導しています。

米の表示については、国の定める「玄米及び精米品質表示基準」等に従って行われているが、消費者にとってより分かりやすい表示等が行われるよう、国の定める品質表示基準に加えて、米穀公正取引推進協議会において作成・導入された業界の自主的ガイドライン。

平成15年6月30日制定(平成16年4月1日より一部改正)ポイントは次のとおり。

1.一括表示欄の表示位置の改善

消費者が小売段階で容易に確認できるように、精米表示の一括表示欄を表面に記載するようガイドライン化。

2.無洗米の品質基準

統一的な基準がなかった無洗米について、品質基準をガイドライン化。

3.精米の品位基準

(国による精米品位基準の廃止を受け、平成16年4月1日から)消費者が安定した品質のお米を購入できるよう精米の品位基準をガイドライン化。

米穀公正取引推進協議会とは

平成15年3月31日設立の任意団体。事務局は全米販業務部。
過去4回開催し(最終開催は平成15年11月12日)、「米穀の品質表示ガイドライン」を制定。

構成員(最終回当時)は次のとおり。

  • (財)日本穀物検定協会
  • (財)全国米穀協会
  • (社)日本精米工業会
  • 全国農業協同組合連合会
  • 全国主食集荷協同組合連合会
  • 日本米穀小売商業組合連合会
  • 日本チェーンストア協会
  • (社)日本フードサービス協会
  • 主婦連合会
  • 全国地域婦人連絡協議会
  • (株)神明マタイ
  • 大和産業(株)
  • 弁護士(高木 賢氏)
  • 全国米穀販売事業共済協同組合

(1) 品質表示の基本原則

品質表示の主たる目的は消費者の商品選択に役立つことであり、消費者にとって分かりやすく、正確で誤認を生じさせない表示が基本原則である。商品の販売を優先するあまりその基本原則から逸脱しないものとする。

(2) 法令遵守の徹底

企業トップ自らが表示の基本原則及び法令遵守(コンプライアンス)の重要性を認識し、率先して、適正な品質表示が確保されるよう役職員にその周知徹底を図るものとする。

米穀販売業者等は、表示基準が適用される精米及び玄米について、表示基準のほか、次の自主基準に沿って表示するよう努めるものとする。

(1) 品質表示の基本原則
  1. 一括表示の方法等
    消費者が店頭で容易に確認できるよう、一括表示欄を米袋の最も大きな文字で表示されている表示事項のある面と同一面に表記する。
  2. 欄外記載
    一括表示欄の該当する欄に欄外の記載箇所を表示して産年又は精米年月日を当該箇所に記載する場合には、
    1. 消費者が見やすい位置に記載するとともに、一括表示欄にはその記載箇所の具体的な位置を明記するものとし、「一括表示欄の右側に記載」、「一括表示の右(又は左)側面下(又は上)に記載」、「反対面下部に記載」等と標記する。
    2. 産年又は精米年月日の表示に用いる文字については、背景の色と対照的な色とするとともに、消費者が見やすい大きさとする。
(2) 表示禁止事項

次の表示は行わないものとする。

  1. 優良と誤認させる表示(一括表示欄外の表示)
    1. 客観的な根拠に基づかないで、「特上」、「特選」、「最高級」、「超」、「究極」等の用語を用いることにより、当該商品が特に優良であるかのように誤認されるおそれがある表示
    2. その他、商品の内容又は取引条件について、実際のもの又は自己と競争関係のある他の事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であるかのように誤認されるおそれがある表示
  2. 表示事項の内容と矛盾する用語の表示
    産地及び品種が同一で産年の異なる原料玄米について、単一原料米と誤認されるような産地及び品種の強調表示
    この場合の強調表示としては、「○○△△複数年産使用」等と記載する。
(3) 一括表示欄以外の表示等 【 情報提供 】

一括表示欄以外の米袋部分については、表示基準第5条に規定する表示禁止事項のほかは、その表示に根拠があれば自由に表示可能であり、消費者への情報提供手段として積極的に活用する。

  1. 賞味期間、保存方法の表示
    賞味期間、保存方法を表示するよう努めるものとする。例えば、「直射日光があたらず涼しい所に保存し、1ヶ月以内を目安にお召し上がり下さい」と記載する。
  2. 食味値の取扱い
    食味値を一括表示欄以外に表示する場合にはその数値のみを記載するのではなく、その数値をどのような方法で計測したかなど、消費者が食味値の意味を判断する上で必要な情報を併記する。
  3. 中身の見える米袋
    消費者が自分の目で中身を確認できるよう、相当部分が透明な米袋を用いる。

うるち精米を販売する場合(販売先が特に品位について条件を付した場合及び品位の程度を米袋等に表示して販売する場合を除く。)には、品位基準に適合するものを販売するものとする。 この場合の「品位基準」は、土砂、石、ガラス片、金属片及びプラスチック片が混入されていないこととするほか、次のとおりとする。

  1. 水分(105度乾燥法によるものをいう)は、16.0%(全量に対する重量比をいう。以下同じ)以下とする。
  2. 粉状質粒(粒質が粉状又は半粉状の粒をいう)は、15%以下とする。
  3. 被害粒(汚染し、又は損傷を受けた粒をいい、着色粒を含み、砕粒を除く)は、2%以下とする。
  4. 着色粒(粒面の全部又は一部が着色した粒をいい、精米の品質に著しい影響を及ぼさない程度のものを除く)は、0.2%以下とする。砕粒(完全粒の2/3から1/4までの大きさの粒をいい、具体的には、針金25番線ふるい目の開き1.7mmのふるいをもって分け、そのふるいの上に残る程度の大きさの粒をいう)は、8%以下とする。
  5. 異種穀粒(うるち精米以外の穀粒をいい、消費者の食用に供するため混入した穀粒を除く)及び異物(穀粒以外のもの及び完全粒の1/4未満の大きさの粒をいう)は、0.1%以下とする。

無洗米の製造に当たっては、次の事項に留意するものとする。

(1) 品質基準

無洗米(うるち精米及びもち精米のうち、洗米せずに炊飯に供することを目的として特別に調製されたもの)の製造に当たっては、(2)の濁度測定方法による計測値を40ppm以下とするとともに、一般精米と同等の品質を確保する。

(2) 濁度測定方法

検査試料5g及び水温20℃の水道水400mlを容器に入れ、30秒間振盪(振幅40mm、1分間に150回)させた後の溶液について、日本工業規格K0101(工業用水試験方法)に基づく透過光測定法又は積分球式光電光度法により測定を行う。

表示基準に従って適正に品質表示を行うためには、表示に密接に関連する原料の仕入、製品の製造、納入先との取引等について、見直し、改善が必要であり、次により取り組むものとする。

(1) 原料玄米の計画的な手当て

原料調達が間に合わずに表示と異なる玄米又は未検査米を用いる事態を起こさないよう、次により対応する。

  1. 主要な納入先に対し一定期間の商品発注見込みの提供を要請し、これらに基づき商品の受注見通しを立て、その製造に必要な原料玄米を計画的に手当てする。この場合、在庫保有コストを勘案しつつ、使用する数量、頻度等に見合う原料在庫の目安を主要産地銘柄別に定めておく。
  2. 原料調達が間に合わない注文については、しかるべき責任者の判断を得て受注しない。
(2) 計画的な製造等

適正な品質表示に資するためにも、次により計画的な製造等に努める。

  1. 商品アイテムごとの受注後納入までの所要日数・時間を納入先にあらかじめ説明し、余裕ある発注に協力を求める。
  2. (1)1.の受注見通し及び実際の発注に応じて、計画的に原料玄米のとう精を行う。
  3. とう精後一定の調製工程を必要とする製造の実態やとう精から数日経過しても品質への影響は極僅かにすぎない商品特性について納入先に十分に説明し、適正な表示日付による納品に理解・協力を得る。
  4. 製造工程における異品種混入を防ぐため、製造ラインの残存粒を減らす装置の設置・改良、原料切替時における製造ラインのクリーニングを徹底する。

表示に関する責任の所在を明確化するとともに、相互チェックが可能な監督体制、社内管理体制、社員教育体制及び人事システムを整備し、全役員及び全従業員に対して品質表示制度について啓発を行い、その遵守を徹底するものとする。

販売業者等は、自己の責任により品質表示を行い、その内容について消費者等に説明する責任があるので、対外的な説明等に統一して対応できるよう、本協議会が別途定める標準的な様式(モデル帳票)により、帳票類の整備に努めるものとする。

特に、未検査米については、その適正使用の確保を図るため、原料の仕入から玄米での販売、製品の製造、最終製品の販売までの全過程を通じて、帳票類の整備を行うものとする。